素焼梵字板��

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陽刻による梵字「ア(大日如来)」が、くっきりと刻まれた素焼の板です。入手当初版画用の版と思いましたが、文字は反転しておらず、そのままの形で用いられていたものと考えられます。類例をほとんど知らず、具体的な用途については判然としません。
側面には墨書が認められ、上部に「安永七」、左側面に「(判読不明)七月四日」、右側面に「◯◯寺」と記されています(◯の文字は判読困難)。安永七年(1778)という年記から、江戸期の庶民信仰の一端を伝える資料としても希少なものではないでしょうか。
比較的容易に制作可能な形状であることから、参詣の折に自身の守本尊を象徴する梵字を奉納したものではないかと想像されます。用途の詳細は不明ながら、確かな彫りと素朴な造形には、当時の人々の信仰心が静かに宿っているように感じられます。
梵字は明瞭で自立するため、鑑賞用としても愉しめる一品。

縦 6 横 4.5 厚み 2(cm)