地蔵菩薩立像

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袖が風に靡くように表現された姿には、春日大社三宮の本地仏とされる地蔵菩薩の姿を思わせる趣があります。襟元の表現にも近しいものが見られ、本来は踏割蓮台に立ち、雲上に現れた姿として表された像であった可能性も考えられるのではないでしょうか。
像容そのものは一見すると一般的な地蔵菩薩像と大きく異なるものではありませんが、細部に見られるわずかな違いに、この像ならではの魅力があります。目を含む穏やかな表情、胸元の襟の表現、残された彩色、そして全体の均整を眺めると、制作時期は中世に遡る可能性が感じられます。
現状では、時代相応の経年による変化、錫杖をはじめ、左右の足先や手先などに欠損が見られますが、いわゆる「ウブ」な姿を留めている点も、本像の魅力の一つといえるでしょう。
台座は後世の補作と思われます。蓮座との接地面や全体のバランスにはやや不自然さがあり、後補されたもの、あるいは別の像に用いられていた台座を転用した可能性も考えられます。
春日信仰を感じさせる簡素な姿は中世彫刻らしい静けさを感じさせる一躯です。


縦 7 横 10 高さ 19(cm)