寺院古材 

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奈良から出た古材とのことですが、詳しい出所については明らかではありません。寺院建築の一部として用いられていたものと考えられ、材そのものの風格から見ても、かなり古い時代のものと思われます。
長い歳月を経て十分に枯れた木は、見た目から受ける印象に比して手に取ると軽く、木が本来持っていた水分や油分が抜け、古材ならではの静かな質感を備えています。とりわけ興味深いのは、その木肌です。目の詰まった良質の材でありながら、表面は硬く荒れた印象ではなく、長い時間の中で木質がほどけるように柔らかくなっています。この表情には、時代の上がる古建築材にしばしば見られる、いわゆる天平古材にも通じる趣があります。また割れ目をよく見ると、内部に朱の色がわずかに残っています。もとは朱塗りの柱、あるいはそれに類する建築部材の一部であった可能性を感じさせるものです。長い年月を経て色はほとんど失われていますが、木の奥に残された朱が、かつてこの材が置かれていた空間や、その時代の建築の姿を静かに想像させます。
もちろん、出土地や伝来が明らかでない以上、年代を断定することはできません。ただ、材の枯れ方、木肌、目の詰まり方、そして朱の残り方を総合して見ると、鎌倉時代頃まで下るものとは考えにくく、より古い時代の建築古材として見るのが自然ではないかと考えています。

縦 11 横 20.5 高さ 34(cm)