戒壇院持国天像宝剣試作品

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天平彫刻の代表作として名高い、東大寺戒壇院の四天王立像。その一尊、持国天像が手にする宝剣の試作品の一振です。
本品を制作したのは、戦前から戦中、そして戦後にかけて奈良を中心に活動した仏師・吉川政治氏です。氏に関する資料は決して多くありませんが、奈良の国宝・重要文化財をはじめとする数多くの仏像の修理・修繕に携わった仏師として知られています。
刀身の茎には墨書で、「東大寺戒壇院持国天像所持新造宝剣試作也」と記されています。
この墨書から、本品は東大寺戒壇院持国天像の宝剣を新調・修理する際、その製作に先立って吉川氏が制作した試作品である可能性が高いものと考えられます。単なる工芸品としてではなく、実際の文化財修理の過程において制作されたものとすれば、そこには仏師の技術だけでなく、当時の文化財修理の一端を伝える資料としての意味も見出すことができます。
奈良の仏師が古代彫刻と向き合い、その姿を後世へ伝えるために制作した一作。東大寺戒壇院の四天王像という名品との関わりを示す墨書も含め、興味深い資料性を備えた品です。昭和期。

長さ 81.5(cm)